働き方改革におけるフレックスタイム制の改正ポイント7つ!概要を詳しく解説

働き方改革におけるフレックスタイム制の改正ポイント7つ!概要を詳しく解説
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目次

フレックスタイム制とは?

フレックスタイム制とは、社員が出勤時間や退勤時間を自由に設定できる制度のことです。
この制度では1日の中に「コアタイム」と「フレキシブルタイム」が設定され、コアタイムは必ず出勤しなければいけない時間帯、フレキシブルタイムは自由に働ける時間帯となっています。

例えばコアタイムが10時~15時、フレキシブルタイムが6時~10時と15時~19時の場合は、10時~15時に勤務してさえいれば好きな時間に出勤・退勤できます。
午後の時間を確保したい場合は、6時に出勤すれば15時に仕事を終えられます。

また、朝に病院に行きたい場合などは10時から19時まで働くことが可能です。
このように自分の都合に合わせて社員が勤務時間を決められることは、社員の生活の質の向上につながるといえるでしょう。

さらに、モチベーションが上がって業務効率のアップも期待できるかもしれません。
会社側としても、勤務時間が調整できるとトータルの残業時間を減らせるためメリットが大きいといえるのではないでしょうか。

フレックスタイム制の3つの基本的なルール

フレックスタイム制とは、働き方改革として時間の管理を労働者に委ねる制度ではありますが、そこに企業の管理が必要ないという訳ではありません。

労働者と企業側の間で、事前にルールを定めておく必要があります。

フレックスタイム制のルール1:就業規則等への規定と労使協定の締結

最初のルールとして就業規則の規定と労使協定の締結のこの2点を満たしていることが働き方改革のためのフレックスタイム制導入の条件となります。

就業規則への規定とは、会社の就業規則内にフレックスタイム制の基本となる始業・終業時間の決定権を労働者に定める事を追記することを指します。

労使協定の締結とは、労働者と企業側で取り交わされた協定内にフレックスタイム制の基本的枠組みを定めることを指します。
たとえば入社何年目の職員が対象なのか、どの期間をフレックス制とするのか、コアタイムなどを設けるかなど具体的な項目を記載していきます。

フレックスタイム制のルール2:時間外労働の取り扱いが通常と違う

通常の法定労働時間である1日8時間、週40時間という枠を超えても働き方改革におけるフレックスタイム制では時間外労働とはみなされません。
その反対に、1日の労働時間が8時間に満たない場合でも欠勤扱いにはなりません。

働き方改革におけるフレックスタイム制では個々で定められた清算期間においての労働時間数が超えた場合を労働時間とみなします。
例えば1日10時間働いたとして清算期間を一週間に定めた場合、最初の4日間を10時間働いて残りの3日を休んだとしても、一週間の労働時間は40時間なので、時間外労働にも欠勤にもならないということです。

フレックスタイム制のルール3:清算期間の総労働時間と実労働時間との過不足に応じた賃金支払い

働き方改革におけるフレックスタイム制では清算期間内で労働時間を管理します。
そのため清算期間内での労働時間の過不足が生じた場合にはそれに応じた支払の義務が発生します。

労働時間が超過した分は、時間単位での賃金の支払いをおこないます。
逆に労働時間が足りなかった場合は、賃金からその分を差し引くか、もしくは次の清算期間にその分の時間を当てる事もできます。

ただし、次の清算期間にあてた場合は、その総時間が法定労働時間内を超えてはいけません。

働き方改革におけるフレックスタイム制の改正ポイント7つ

当初は、労働時間の清算期間が短いことなど働き方改革のためのフレックスタイム制といっても縛りが強い印象がありましたが、今回の働き方改革による法改正によって更に柔軟な働き方を選択できるようになりました。

フレックスタイム制の改正ポイント1:清算期間を3か月に延長

現行のフレックスタイム制では、清算期間が短いことに対する不満の声が多くありました。
しかし、労働基準法の改正によって清算期間が1か月から3か月に延長されます。
これによって月をまたいで労働時間を調整できるようになるため、より柔軟に働けるようになるといえるでしょう。

とはいえ、フレックス制度には清算期間の短さ以外にも課題があります。
企業側が懸念している問題点としては「従業員の時間意識がルーズになること」があり、これを避けるためにはしっかりとしたマネジメントが求められるようになるといえるといえるでしょう。

さらに取引先の勤務時間とずれる、社員間でコミュニケーションを取りにくくなるなどの課題もあります。
フレックスタイム制を有効に利用するためには、このような課題を把握して対処していくことが重要だといえるのではないでしょうか。

フレックスタイム制の改正ポイント2:清算期間が1か月を超える場合の労働時間上限

清算期間が延長され労働者の柔軟な選択が可能になった一方で、働き方改革のため労働環境の悪化は防がなくてはいけません。そのため、清算期間が1ヵ月を超える場合の条件が2つあります。

1つ目は清算期間全体の労働時間が週の平均40時間を超えてはいけない。

2つ目は1ヵ月ごとの労働時間が、週の平均50時間を超えてはいけない。

この2つのいずれかでも満たない場合は時間外労働となります。そのため3ヵ月に延長されたからと1ヵ月にまとめて仕事を詰め込むといったようなことはできないようになっています。

フレックスタイム制の改正ポイント3:清算期間が1か月を超えるときは労使協定届出を!

働き方改革により清算期間が延長されたことで、清算期間が1ヵ月を超える場合は企業と結んだ労使協定を所轄の労働基準監督署に届け出する必要があります。

届け出た場合、結んだ協定から違反すると罰則が科せられることになります。
清算期間が1ヵ月以内の場合は届け出が不要です。

フレックスタイム制の改正ポイント4:清算期間が1か月を超える場合の割増賃金支払い

労働基準法における法定労働時間は週40時間以内とされていますが、働き方改革におけるフレックスタイム制においてはそれは当てはまらず、清算期間においての1ヵ月ごとの週平均労働時間が50時間を超えた分を時間外労働とみなします。

その労働時間が法定労働時間を上回る場合は、労働基準法における36協定の締結と届出、割増賃金の支払い義務が生じます。
その義務が果たされない場合は罰則の対象となります。

フレックスタイム制の改正ポイント5:労働期間が清算期間より短い労働者への割増賃金の支払

清算期間が1ヵ月を超える場合に労働期間が清算期間より短いケースとして、清算期間中に違う賃金体系をとっている事業部へ移動すると仮定します。

その際は移動前のフレックスタイム制で労働していた期間の週平均での労働時間を算出し、その週平均労働時間が40時間を超える場合は、割増賃金を支払う必要があります。

フレックスタイム制の改正ポイント6:法定労働時間の総枠特例

以前は、暦によって月の労働日数と休日が異なる事から、時間内労働をしていたとしても時間外労働が発生するという矛盾がありました。
例えば月初めの1日が月曜日で31日まであった場合(1日労働時間を7時間45分と仮定)

清算期間における総労働時間=7時間45分×23日=178.25時間
法定労働時間の総枠    =40時間÷31日=177.1時間

このように時間内労働をしていても法定労働時間を超えてしまうケースがありました。そのため、労使協定を行うことで「清算期間内の所定労働日数×8時間」を労働時間の限度とすることが可能となりました。
それにより法定労働時間の総枠が8時間×23日=184時間となり、法定労働時間内に収まるようになります。

フレックスタイム制の改正ポイント7:完全週休二日制の特例

働き方改革の一つであるフレックスタイム制における法定労働時間の総枠特例が認められる条件として、完全週休二日であることが定められています。

本来であれば清算期間における平均の総労働時間から残業の有無を査定しますが、完全週休二日の体系を取っている企業のみ、法定労働時間の総枠特例が認められているということです。

フレックスタイム制の必須事項と任意事項

働き方改革におけるフレックスタイム制は労働時間の決定権を個人に委ねることになりますが、労働環境が等しく労働者に与えられるためにも、事前に細かい事項を労使協定で結んでおく必要があります。

フレックスタイム制の必須事項4つ

労使協定で定めておく必要のある項目として必須事項は4つあります。
これは働き方改革におけるフレックスタイム制を導入する際の基本となる大切な事項です。

フレックスタイム制の必須事項1:対象労働者の範囲について

企業において労働者とは全労働者をさすのか、また個人や課ごとで分けるのか様々なケースが考えられると思います。

内容としては、全従業員や〇〇企画部、または個人名でも構いませんので十分に話し合いをした上で、対象の範囲を明確に定めていく必要があります。

フレックスタイム制の必須事項2:清算期間について

清算期間とは働き方改革の一つであるフレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間のことを指します。これまでは上限が1ヵ月でしたが、今回の改正で3ヵ月へと延長されました。また清算期間を定めるにあたって、その期間に加え清算期間の起算日を決めます。

清算期間が延長されましたが、企業において繁忙期などの実態を踏まえた上で、労働者に過度の負担を与えないよう事前に話し合いが必要です。また清算期間が延びても企業側は1ヵ月ごとに労働時間を労働者に通知するなどの対応に勤める必要があります。

フレックスタイム制の必須事項3:清算期間の総労働時間について

清算期間の総労働時間とは、労働契約上労働すべき時間として定められた時間を指し、所定労働時間とも言います。
通常の労働基準法とは異なり、働き方改革におけるフレックスタイム制は所定労働時間を清算期間のある一定の期間の平均日数で定めます。
清算期間における総労働時間は法定労働時間の総枠の範囲内としなくてはいけません。

清算期間における総労働時間≦(清算期間の暦日数÷7日)×一週間の法定労働時間(40時間)

フレックスタイム制の必須事項4:1日の労働時間について

働き方改革におけるフレックスタイム制においての1日の労働時間とは清算期間における総労働期間を所定の労働日数で割った時間を基準とします。

その基準である時間を元に、労働者が有給休暇を取得した際に支払われる賃金を算出します。またフレックスタイム制で労働者が1日有給休暇を取得した場合には、その1日の標準労働時間を働いたものとして取り扱います。

フレックスタイム制の任意事項2つ

自由に出退勤できる時間や、逆に必ず出社しなくてはいけない時間帯を必要に応じて設定することができます。

ただ、この時間が極端に長かったり、短いことで労働者の自由な決定権が奪われることになり働き方改革のためのフレックスタイム制とは言えなくなるので注意が必要です。

フレックスタイム制の任意事項5:コアタイム

労働者が1日の中で必ず働かなくてはいけない時間帯のことを指します。コアタイムを設定する場合は、その時間帯の開始時間と終了時間を協定で決める必要があります。

時間帯としては自由に決定することができ、日にちや時間の設定を変則的に組むことも可能です。

ただコアタイムを設けず、完全に労働者個人に勤務時間の決定権を委ねる場合にも、所定の休日は定めておく必要があります。

フレックスタイム制の任意事項6:フレキシブルタイム

労働者が自らの選択によって労働時間を決定することができる時間帯のことを指します。フレキシブルタイム中であればいつ出社してもよいですし、また中抜けするといったことも可能です。

設定する際は、これも開始時間と終了時間を協定で定める必要があります。

働き方改革によるフレックス制のメリット・デメリット

働き方改革におけるフレックスタイム制のメリットとしては勤務時間を労働者が自由に決められるということが1番にあります。自由に働けるということは、ワークライフバランスが取りやすいということと、時間や仕事管理が個々で必要となるので仕事に対しての自主性や積極性が養えます。

また、仕事の繁忙期や閑散期などに合わせて勤務時間を調整できるという点で時間外労働や休日出勤を減らすことも期待できるのです。その結果、従業員の定着率が上昇したり、優秀な人材が集まりやすいという点があげられます。

一方デメリットとしては、個人の自己管理能力によって仕事の効率が左右され、人によってはモチベーションが保てないということもあります。また会議や打ち合わせ、取引先とのやり取りが必要な企業においてはスケジュール調整が難しく、プロジェクトなどの進行が遅くなるという点が挙げられます。

フレックスタイム制で自由な働き方が可能に

清算期間が延長されるとはいえ、フレックスタイム制にはその他の課題がいくつかあります。
とはいえ、フレックスタイム制によって自由な働き方が可能になることによるメリットはやはり大きいといえるでしょう。
今後フレックスタイム制を導入する企業が増えれば、ゆとりを持った生活ができる人が増えるのではないでしょうか。

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