裁量労働制とは?裁量労働制における3つのメリットとデメリット

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裁量労働制とは?


裁量労働制とはみなし労働時間制の1つで、労働時間が実労働時間ではなく労働者の裁量にゆだねられている労働契約のことです。
そのため、裁量労働制では出勤時間や退勤時間などの制限がなく、労働者個人で時間管理を行う事になります。

裁量労働制は企業側や労働者側が一方的に取り決めることはできず、労使協定を結ぶことによって裁量労働制が成立することになります。
また、裁量労働制は「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類です。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制とは、主に業務の性質上業務遂行の手段や時間配分などを労働者自身の裁量にゆだねる必要がある対象の業務に対して、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。
専門業務型裁量労働制の導入が許可されている業務には、弁護士や公認会計士、研究開発などの19業務があります。

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制とは、企業の事業運営上重要な決定を行う本社に勤めている労働者の中で、企画や立案、調査や分析を行う労働者を対象としています。
主体的に事業運営を行う労働者が、上司からの指示を待つ必要なく能力を発揮できるように導入された制度です。

フレックスタイム制との違い


裁量労働制はフレックスタイム制とも混同されることがありますが、フレックスタイム制は企業が定めたコアタイムに就業していれば始業や終業時刻を自由に決めることができる制度です。
フレックスタイム制の場合は所定の労働時間は働かなければならず、給与も実労働時間で計算することから、裁量労働制とは異なると言えるでしょう。

裁量労働制の3つのメリットとは?


裁量労働制は企業にとって、労務管理の負担を軽減でき、人件費の予測もしやすくなるといったメリットを持つ制度です。
また、実際に裁量労働制で働く労働者にもさまざまなメリットがあります。

ここでは裁量労働制の3つのメリットについてご紹介しますので、どのようなメリットが考えられるのかぜひ参考にしてみてください。

1:自分のペースで仕事ができる

裁量労働制で働く場合、上司からの指示を受けずに自分の裁量でさまざまなことを決定して仕事を進めることが可能です。
一部業務には監督者からの承認が必要なものもありますが、基本的には労働者自身の裁量に任せられています。
そのため、裁量労働制は労働者が好きに出社時間や退社時間を決めることができ、自分のペースで仕事をすることができる制度となっています。

2:拘束時間の短縮

裁量労働制の場合は所定時間勤務する必要がないため、処理能力が高く短時間で業務を遂行できる人であれば、それだけ勤務時間も短くすることができます。
勤務時間も労働者自身の裁量に任されているため、短い労働時間で退社したとしても、給与が減るということもありません。
そのため、効率よく仕事して成果を出すことにより、拘束時間を短縮することができる点は大きなメリットだと言えます。

3:成果を生み出すことに専念できる

ここまでご紹介したとおり、裁量労働制では労働者は労働時間に縛られることなく、自分の裁量によって自由に働くことができる制度です。
そのため、裁量労働制であれば労働時間などを気にすることや、上司などからの指示に縛られることもなく成果を出すことのみに専念することができるでしょう。

裁量労働制の3つのデメリットとは?


裁量労働制にはさまざまなメリットがありますが、一方で実労働時間によって縛られないという特徴から、長時間労働になりがちになるなどのデメリットもあります。

ここでは裁量労働制の3つのデメリットについてご紹介しますので、メリットだけでなくデメリットについても把握しておくようにしましょう。

1:長時間労働常態化

裁量労働制では決まった労働時間に縛られることがないことから、仕事を切り上げて帰るといった意識が低くなりがちです。
また、成果を求められるあまり、どうしても労働時間が長くなるケースも多いです。
さらにどれだけ長い時間働いたとしても、裁量労働制ではみなし労働時間によって給与計算がなされることから、給与が上がるということもありません。

2:過労による健康面への心配がある

前述のとおり、裁量労働制では長時間労働が常習化しがちです。
実際に、月平均では裁量労働制で働く方が一般の労働者よりも労働時間が長くなるという結果も出ています。
そのため、裁量労働制では労働者の長時間労働による過労や健康面での問題が懸念されています。

3:残業代が基本的に出ない

裁量労働制で働く場合、実際の労働時間がどれだけ長くなったとしても、給与計算はみなし労働時間によって行われます。
そのため、基本的に休日出勤や深夜の手当を除いた時間外労働による残業代は出ません。
残業代が出ないということが労働者側の不満になるケースも多いことから、裁量労働制を採用する場合に企業は労働者に対して裁量労働制についてよく説明し、理解を得る必要があります。

裁量労働制で残業代が発生する3つのケースとは?


裁量労働制では原則として残業代が発生しないということをご紹介しましたが、特定の条件では例外的に残業代が発生することになります。
そのため、企業側は裁量労働制を導入したからといって、労働者に支払う残業代が完全にゼロになるというわけではない点には注意する必要があります。

ここでは最後に、裁量労働制で残業代が発生する3つのケースについてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

1:みなし労働時間が8時間を超える

みなし労働時間が8時間を超える場合には時間外手当を支払う必要があります。
法定労働時間は1日8時間、週40時間となっているため、裁量労働制でのみなし労働時間を1日8時間以上に設定した場合は、休憩時間を除いた8時間を超える分が時間外労働となります。
そのため、みなし労働時間を9時間に設定した場合、1時間が時間外労働時間となり残業代を支払わなければなりません。
また、その場合は時間数に応じて、1時間あたりの賃金に25%を加算して計算することになります。
もちろん、みなし労働時間を8時間以内に設定した場合、時間外手当は発生しません。

2:深夜残業

裁量労働制であっても、深夜労働が発生した場合には労働者に対する割増賃金の支払い義務が発生します。
労働基準法37条では22時から翌朝5時までの時間帯は深夜とされており、この時間帯での労働は深夜労働に該当します。
深夜労働を行った場合には、時間数に応じて、1時間あたりの賃金に25%を加算して計算することが必要です。
また、時間外労働が深夜労働となった場合には、時間外労働の25%と深夜手当の25%の両方が加算されることになるため、1.5倍の賃金の支払いが発生します。

3:休日出勤

日曜日などの法定休日に業務を行った場合には、休日出勤に対して割増賃金の支払いが発生します。
休日出勤とは法定休日に従業員を出社させ、業務に従事させることを指すため、日曜日以外でも休日出勤に該当するケースはあるでしょう。
休日出勤の場合は、労働時間数に応じて1時間あたりの賃金に35%を加算して計算することになります。
また、休日出勤が深夜労働となった場合には、深夜手当の25%と休日手当の35%の両方が加算されることになり、1.6倍の割増賃金が発生します。

満足度の高い裁量労働制だが課題もあり


裁量労働制は一部の職種に対して適用することができ、この制度の導入に満足している企業や従業員は少なくありません。
ただし不満の声があることも事実であるため、そのような声に対処していくことが今後の課題になるといえるでしょう。

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