5G時代のアンテナは何が違う?開発が進んでいる7つの取組を紹介!

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5Gとは?

5Gとは、第5世代移動通信システムと呼ばれています。このシステムは2020年から国内で順次サービスが始まっていて、「超高速化」「超多数同時接続」「高信頼・超低遅延」の3点ができるようになります。

5Gを使うことによって、loTが更に普及します。loTとはInternet of Thingsの略称で、今まで以上にあらゆる物をインターネットに繋げることができ、生活や仕事の環境がより良いものとなります

5Gとは、次世代の通信インフラとして社会を大きく変え、技術革新につながる可能性を持つ通信システムなのです。

4Gとの違いは?

スマートフォンが主流となった2010年代から利用されている通信速度が50Mbps~1Gbpsの4Gですが、5Gは20Gbpsです。

大きく3点が違っており、5Gと4Gを比較すると通信速度は20倍、同時接続は4Gの10倍、遅延速度は10分の1と言ったように飛躍的に進化しています。

4Gは「スマートフォンなどのモバイルネットワーク技術」でありましたが、進化した5Gはモバイルネットワーク技術だけでなく社会を支えるネットワーク技術となります。

5Gになって変わる事とは?

5Gの大きな特徴である3点「超高速化」「多数同時接続」「高信頼・低遅延通信」が大きく変わります。

・「超高速化」
2時間以上の映画や動画などのダウンロードは、数秒でダウンロードすることが可能と言われています。他には4K・8Kなどの動画のライブ配信、高精度なセキリュティシステムなどが期待されています。

・「多数同時接続・低遅延通信」
同時接続数も飛躍的に向上します。例えば、4Gに比べると10倍の接続数が可能です。また、人が多い場所で通信が集中することにより接続や、通信速度が落ちる事がなくなります。

5Gに変わる事によって、今まで以上に通信速度が速くなり、loTの普及につながります。

5G時代対応での開発技術7つ

5Gでは高い周波数を使用することで特性を活かせます。高い周波数をミリ波と呼び、この周波数をキャッチするために従来のアンテナではミリ波の特性を活かしきれません。そこで、ミリ波の特性を活かすアンテナ技術の開発が課題とされています。

ここからは、5Gに対応するための開発技術を7つ紹介していきます。

5G時代対応での開発技術1:高周波対応受発信アンテナ

5Gの超高速・大容量化を使用するために必要な条件を満たすためには周波数の拡張が特に重要となってきています。そして、5Gは高周波を利用したミリ波を受信するためのアンテナが必要です。

現在4G(LTE)と呼ばれる周波数は500〜2,500MHzの周波数帯が利用されています。その周波数を5Gが利用するとなると、5Gの超高速・大容量化に割り当てる事は不可能です。

そのため、携帯会社はこれまでの通信に用いられていない、2,500〜4,700MHzの高周波を使用することによって5Gを利用することを考えています。

5G時代対応での開発技術2:直進性の強い電波対応受発信アンテナ

高速大容量を確立するための要素として活用するミリ波は、今までの移動通信には使用されていないため、周波数帯域を広く確保できます。更に、大容量の無線伝送に適しており、人が多く集まる場所やイベントでの通信を局所的に強化できる可能性があります。

しかし、ミリ波の弱点は長距離の電波の送信に弱い直進性の電波だということです。この課題を克服するために電波の回折が起こるような障害物が多い場所でもミリ波を活用できる新たなアンテナ技術が開発されています。

5G時代対応での開発技術3:基地局の大容量データ量処理

5Gは4Gと比較すると通信距離が短いので、多くの基地局を整備することが課題とされています。今後loTも普及していくことで大量の端末と接続することを考えると全国的に基地局が必要とされます。

多くの基地局が必要となる中、現在スモールセルと呼ばれる小型基地局の設置などが検討されています。

総務省の公式ホームページによると、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社/沖縄セルラー電話ソフトバンク株式会社 楽天モバイル株式会社から5Gの基地局の開発計画が申請されています。

5G時代対応での開発技術4:複数のアンテナを同時に使用するMIMO

MIMOとはMultiple Input Multiple Outputの略称です。今まで送信側と受信側1本ずつのアンテナを使用していましたが、MIMOは複数のアンテナでデータの伝送が可能となり、データを分割することでデータを伝送する速度が上がります。

5GはMIMOのアンテナを増やすMassive MIMOという技術を採用し活用する予定です。

更に、従来の1本のアンテナでの伝送は障害物があると速度は遅くなってしまいますが、MIMOを活用すればそういったデッドスポットが減りデータ伝送の速度は最適化となります。

5G時代対応での開発技術5:電波に指向性をもたせるビームフォーミング

ミリ波を使用するにあたって、ビームフォーミングと呼ばれる技術が必要となってきます。

ミリ波の特性の高い周波数は、通信距離が短く、また電波は特定方向に強く飛んでしまいます。特定方向の電波では5Gの特性の高速通信ができないという課題があります。

ビームフォーミングとは、多数のアンテナを用いて各アンテナから出る電波を少しずつずらす事で電波を飛ばす向きを変える事ができ、更に電波を遠くまで飛ばすことができます。この性質を使い上記の問題を解決することができます。

5G時代対応での開発技術6:複数データを重ねて送信するNOMA

データ伝送の高速化のために端末に搭載するNOMAというチップが開発されています。NOMAはNon Orthogonal Multiple Accessの略称で非直交性多元接続を意味しています。

従来の通信技術では、「時間」「符号」「周波数」等の信号を使って電波を区別するため受信する速度が遅くなります。NOMAを搭載したチップは端末が必要な電波信号のみを受信することで速度が落ちません。

5G時代に対応する新しいアンテナ7つ

5Gは4Gに比べると電波が遠い距離まで届きにくいこと、そして大量のアンテナ基地局が必要とされています。そのため、設置場所が確保し難い観光地や都市部でも活用するために色々な開発しています。

今から携帯電話大手各社や製造メーカーが開発に取り組んでいるアンテナを7つ紹介していきます。

5G時代に対応する新しいアンテナ1:ガラスアンテナ

AGC株式会社は株式会社NTTドコモと共同でガラスアンテナ開発しており、5Gの周波数に対応する「窓を基地局化するガラスアンテナ」の開発をしました。

このガラスアンテナは窓ガラスなどを基地局とできます。従って、ネットワークの構築のためのアンテナ増設することが不要ですので、街の景観を変えることなく基地局を増やすことが可能です。

更に、前述2社はエリクソン・ジャパンも迎え入れ、自動車のフロントガラスにも車載することが可能なガラスアンテナの開発も成功しています。

5G時代に対応する新しいアンテナ2:マンホールアンテナ

電波を通しやすい樹脂素材を使用したマンホールアンテナも開発されています。電柱のないテーマパークや都市部のビル影で電波障害が起こりやすい場所で活用されやすくなります。

マンホールは既存のマンホール穴を使用せず、マンホールアンテナ用に穴を作ります。そこでも雨などの浸水リスクが懸念されるので、札幌や沖縄などで水位計を設置しどれだけ耐えられるか検証中です。

5G時代に対応する新しいアンテナ3:見えない看板アンテナ

ソフトバンク株式会社、三協立山株式会社、日本アンテナ株式会社の3社は合同で看板型のアンテナを開発しました。

スモールセルの構築のために設置するアンテナは屋上や壁面に設置されていました。設置場所の増設は景観保護の制約などから簡単には増やせません。そこで、取り付けもしやすく街の景観にも大きな影響を与えない看板アンテナを開発し基地局としました。

5G時代に対応する新しいアンテナ4:超多素子アンテナ

三菱電機は超多素子アンテナの開発に成功しています。この超多素子アンテナはその素子1つ1つから電波を組み合わせ、利用している端末にそれぞれ電波をビーム照射することができます。これによって快適な通信環境を作れるのです。

この仕組みは従来の電波は一定範囲に満遍なく送っていましたが、超多素子アンテナはビームフォーミングで一定の場所に強力な電波を送ることが可能となりました。この超多素子アンテナは薄型かつ、小型なのでビルの壁面に簡単に装着が可能です。

5G時代に対応する新しいアンテナ5:フレキシブル形状アンテナ

フレキシブル形状アンテナはシートフィルムのような形状で柔軟性に長けているので電柱に巻きつけることができます。

ミリ波は、直進性の強い電波を発するので、多方面に飛ばすことが難しく反射させると拡散してしまい電波が拡散し力が弱まってしまうのが弱点です。そこで、電波自体を曲げられないのならアンテナを曲げるというところに着目しミリ波向け超フレキシブルアンテナを開発しました。

住友電気工業株式会社(住友電工)は低伝送損失かつ柔軟性の高いフッ素樹脂を使ったフレキシブルプリント基板の開発し量産化に成功しています。

5G時代に対応する新しいアンテナ6:透明フィルムアンテナ

大日本印刷株式会社が5Gに対応した透明アンテナフィルムを開発しました。このアンテナは透明なフィルムかつ、目視できないほどの金属配線をメッシュ状に形成しているのが特徴です。

フィルムアンテナは特性を活かし、5G対応製品に貼り付けたり窓ガラスや屋内の天井や壁、車などに貼ることができます。

5Gのデータ通信に使用されるミリ波は障害物があるとデータ通信に影響を受けやすいデメリットがありますが、フィルムアンテナを多数設置することによって解消できます。

5G時代に対応する新しいアンテナ7:電波をきれいに反射するメタマテリアル

ミリ波は直進性の強い電波のため、遠くまで届きにくいです。なぜ遠くまで届きにくいのかというと、電波が壁や障害物等にぶつかることによって逆位相を起こし電波が弱くなってしまいます。

そこで、ミリ波が綺麗に反射できるように助けるメタマテリアルの開発につながりました。メタマテリアルはナノメートル単位の構造で作られており、狙った方向に電波を反射させることができます。反射を操作することでミリ波の弱点を解決することが可能となりました。

5G対応アンテナは何故技術開発が急がれているのか?

世界的に5Gが注目されており5Gのインフラ産業は今後ますます需要が増えるでしょう。

中国やアメリカは5G産業が進んでいます。その中でもノキア、エリクソン、サムスン電子、NECの各企業がシェア率を増やすため励んでいます。

日本の経済産業省はポスト5G開発のため富士通やNECなどの国内メーカーを支援する予定です。またNTTもNECに出資し、5Gなどの情報通信技術を共同開発する予定のようです。

国内では農業や建設業の高齢化に伴ない5Gを使用した遠隔操作の利用や、ローカル5Gの活用にも力を入れており長野県は鳥獣被害対策、埼玉県では自治体がAIを使ったチャットボットなど各自治体で5Gを使用したloTを活用し経費削減に取り組んでいます。

5Gに採用されるミリ波の特徴

今まで使用されていた4Gは3.60GHz未満の周波数でしたが、ミリ波は28GHz~300GHzを利用します。周波数が高いほどデータ通信速度は速くなります。

しかし、ミリ波は高速の代わりに電波が直進方向のみなので障害物があると電波の速度が落ちてしまうため、多くのアンテナ基地局場所やアンテナが必要となります。更に、分子の影響も受けるので雨や霧などの影響も受けてしまいます。

5G対応基地局やアンテナが4Gと共用できない理由

4Gと5Gでは使用している周波数が違うので基地局やアンテナをそのまま使用できません。更に、4Gの周波数は低いので障害物があってもあまり影響はありませんが、5Gは周波数が高く直進性が強い電波なので従来のアンテナでは特性を活かすことができません。

従って、5Gの基地局は現在使用している基地局以上に必要となっています。

5G時代のアンテナは従来の概念を大きく変える?

5Gを普及するためには、今まで以上に基地局が必要となります。そして、5Gの特性を活かすために使用するミリ波は従来のアンテナだけでは能力も数も足りません。

街の景観を崩す事なくたくさん設置ができ、そして特性を活かしたアンテナを作るために様々なアンテナが製造されています。薄い、持ち運びができる、曲げられる、費用を抑え簡単に設置できる等々従来のアンテナからは想像できない進化をしています。

今後5Gが全国的に展開することを考えれば、アンテナは必要不可欠な存在になります。今後どのようなアンテナが開発されていくか楽しみにしていましょう。

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