次世代通信ローカル5Gとは何か?6つの利点と3つの課題を紹介

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ローカル5Gとは


ローカル5Gのコンセプトは「第五世帯移動通信システム(5G)を利用して、地域においてローカルニーズに基づく小規模な通信環境を構築し、無線局免許を自ら取得することも、免許を取得した他社のシステムを利用することも可能」とされています。

これまでの携帯電話事業者による全国でのサービス提供だけでなく、地域や産業ごとのニーズに応じて5Gを地域限定で利用するというものです。
これにより企業が自社の敷地内や建物内で5Gを利用することが可能になります。

ローカル5Gが利用する帯域としては、4.6-4.8GHzと28.2-29.1GHzの周波数を利用することが検討されています。
また、他社の建物又は土地内では固定通信に限定して利用が可能とされています。

パブリック5Gとは

パブリック5Gとは、通信事業者が全国的に通信サービスを提供する5Gのことを言います。実際に、2020年春から都市部を中心として、全国各地に広がりつつあります。

比較的手軽に誰でもサービスを利用でき、複数端末接続を可能にしているため、大人数が一斉に使っても遅延することが少ないという特徴があります。

プライベート5Gとは

プライベート5Gとは、ローカル5Gとパブリック5Gの中間に位置するネットワーク回線のことで、通信事業の周波数帯を用いつつも公共のネットワークから切り離し、外部ネットワークとは異なるハードウェアや仮想マシンが使える環境を提供します。

このプライベート5Gの利点とは、特定の用途に合わせてネットワークを最適化できることです。これは外部ネットワークと切り離したネットワークを利用する上での強みになります。通信速度、通信容量、通信安定性など、利用目的に応じて特化した5G回線を作り上げられます。

ローカル5Gの利点6つ


ローカル5Gを導入することによるメリットとはどう言ったものがあるのでしょうか。ここでは、高品質な通信が利用できる点など、ローカル5Gを導入することで得られる利点を様々な観点から6つ紹介します。

1:高品質な通信が利用できる

ローカル5Gとは高周波数帯を利用したデータの送受信を行うため、大容量の高速通信が可能になっています。参考比較として、従来の4G通信の最大通信速度とは約10倍の差になるとも言われています。

また複数同時接続も実現できるため、IoT分野を始めとする様々な分野での活躍が望めます。そのほかにも、低遅延でリアルタイムな通信が可能です。

2:Wi-Fiよりも通信可能範囲が広い

今まで利用されてきたWi-Fiとは異なり、ローカル5Gは広範囲での通信が可能です。そのため、工場などのような広い敷地や、屋外での利用にも対応できます。

よって、Wi-Fiでは困難であった環境での通信が実現できるようになります。

3:キャリアの通信障害に影響されない

ローカル5Gは他のネットワークとは独立した回線を構築しており、キャリアが提供しているネットワークに影響されることなく利用できます。

そのため、非常事態や緊急事態などで多くのユーザがキャリア5G回線を利用していたとしても、左右されることなくスムーズな接続が可能になります。

4:ネットワーク構築をスピーディにできる

キャリアによる5G回線の構築はまだ都市部を中心にしか展開できていない傾向にあります。一方、ローカル5G回線は独立した回線を構築できるため、キャリア回線の構築を待つことなく利用できます。

都市とは離れた場所や田舎などは、積極的にローカル5Gによるネットワーク構築を進めることで、より早く利用できるようになるでしょう。

5:セキュリティが強化できる

ローカル5Gは局所的なネットワークになっているため、外部とは切り離されていることから、一定レベルのセキュリティ対策ができていると考えられます。

利用環境でのセキュリティ対策は個別にすることが一般的になっていますが、外部ネットワークとは独立して利用できるローカル5Gは、情報漏洩の観点から見ると大きなセキュリティ対策となっています。

6:高いICT環境が作れる

ICTとは「情報通信技術」のことであり、この言葉は特に教育分野で使われることがあります。
SNSやネット通販などもICTを活用したものとして挙げられます。

ローカル5Gの導入により、このICT技術が飛躍的に発展し、これまでより快適なICT環境を生み出すことができると考えられています。

例えば、教育分野では、昨今の情勢からオンライン授業が主流になってきていますが、5G回線の普及によりリアルタイムの授業配信や、他大学の著名な教授の公聴会を大人数で視聴することが可能になると考えられます。

ローカル5Gの課題3つ


ローカル5Gの導入が進むにつれて、様々な場所で高速インターネット環境の構築を実現することが可能なため、上記のようなメリットとともに様々なことに挑戦できるでしょう。

しかし、現状のローカル5Gはいくつかの課題も抱えています。ここでは、現状のローカル5Gが抱えている課題とは何があるか説明していきます。

1:基地局建設にお金がかかる

ローカル5Gとは独自のネットワークを利用するもののため、基地局を新たに建設する必要があります。そのため、ローカル5G導入の大きな壁として、初期コストが大きいことが課題としてあります。

そのほかに、基地局建設のために免許申請が必要になったり、その免許発行にも費用がかかったりします。

2:電波利用料などの維持費がかかる

ローカル5Gを利用する際は、電波利用料をはじめとした維持費がかかります。現在は基本的に年単位で金額が決められていることが多く、無線局の種類や設置場所によって金額は決まっています。

ローカル5Gはまだ不透明なことが多くありますが、電波利用料については電波法によって定められているため、現段階でも考えやすい点になるでしょう。

3:障害物に弱い

ローカル5Gに使われている周波数は直線的な電波を持っているため、障害物に弱いという弱点を持っています。そのため、広く使える公共施設のような場所とは反対に、工場のような障害物が多い場所で利用する時は、通信できる距離が短くなってしまうという課題を抱えています。

ローカル5Gの活用事例6つ


ローカル5Gは実際に稼働しており、様々なところで使われています。ここでは、実用例を交えて、ローカル5Gの強みとは何か、新たな活用法とはどういったものが考えられるかなどを解説していきます。

1:スマート工場のシステム構築

「スマート工場」とは工作機械や製造ラインなどをインターネットで接続し、効率的にものづくりを行う工場のことを言います。

複数の機械を同時に動かしたり、複数の製造ラインを管理したりするため、リアルタイムに大量のデータ処理を行う必要があります。そこでローカル5Gを活用することで、高速通信による遅延のないデータ通信や大量のデータ解析ができます。

2:建設現場での遠隔操作

建設現場での作業効率と安全性の向上を目的に、建設業にローカル5Gを導入した例があります。

例えば、「AIカメラを用いた危険エリアの監視」をすることで、人的ミスや人件費削減につなげています。AIカメラでリアルタイムの監視を行い、即座にアラートなどを流すことで事故を未然に防ぐ役割を可能にしています。

3:スマート農業への活用

「スマート農業」とは、農業と5Gを組み合わせた技術のことで、現在注目を浴びています。スマート農業では、農産物の効率のよい育成を目的として、ドローンや農作業ロボットを駆使します。

例えば、ドローンで植物を撮影した画像をAIを用いて分析することで、作物の状態を観測したり、無駄のない農薬の頒布や水量調整が可能になります。
また農作業ロボットに作物の収穫や雑草の除去などにも利用でき、人の作業量を大きく減らせます。

4:スポーツや音楽のパブリックビューイング

スポーツのライブビューイングにも5G回線を利用していることがあります。実際に5G回線を利用してラグビーの試合のライブ中継を行った例がありました。

5G回線を用いた観戦では、高速大容量通信ができるようになるため、複数視点からの同時視聴が可能になり、あたかもスタジオで観戦しているかのような臨場感を再現できています。

この実践例から、音楽ライブなどのエンターテイメントにも利用でき、ライブ会場にいるような感覚を味わえるようになる可能性があります。

5:観光地のバーチャルツアー体験

5G回線の高速通信を利用した観光地のバーチャルツアー体験も、より臨場感を高めて楽しむことが可能です。

遠隔地にいる体験者はVRゴーグルを装着することで、現地にいるガイドとリアルタイムで一緒に観光できるようになります。ここでも5G回線による高速通信のリアルタイム性が活かされ、この擬似体験の楽しさを損なわずに提供できるようになっています。

6:高度医療への応用

5G通信を医療現場でも利用する取り組みもあります。今までも遠くにいる専門医の意見を聞くために通話や患者のデータのやり取りが行なわれていましたが、5G回線により遠隔診療の技術が今までとは格段にレベルが上がってきています。

遠隔地の医者とテレビ通話が遅延なく行えるため、素早くやり取りができ、映像の質が格段に上がることから、的確に指示できるようになります。迅速な対応が求められる医療現場とは相性が良く、様々な利用法が試されていくでしょう。

幅広い分野で活用できるローカル5G


これまでの全国的なサービスだけでなく、地域で限定的に利用できるローカル5Gは、さまざまな産業において活用が期待されています。
工場や建設現場、農業などのビジネスの場だけでなく、医療や観光、エンターテイメントの世界においても、ローカル5Gの活用が見込まれています。

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