SIerとは何のこと?SE・SESとの違いや仕事内容8つをご紹介!

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SIerとは何のこと?


SIerとはシステムインテグレーションを行う企業のことです。システムインテグレーションとは、システムを構築する際にシステムの企画や設計、構築、運用サポートなどのシステム開発に関係する全ての業務を引き受けることです。

SIerと呼ばれる企業はコンサルティング業務をメインとしているため、クライアントからの依頼によってシステムの企画や構築、運用などを行います。

SIerとは何の略称?

SIerとは「System Integration」に「~する人」という意味の「er」を付けた言葉を略したものです。

SIerは「システムインテグレーター」の略で、システムを統合する人という意味になります。ただし、英語圏での実際の表記は「System Integrator」になるため、略しても「SIer」にはなりません。

SIerとSE・SESの違い

SEは「システムエンジニア」の略で、SESは「準委任契約」と呼ばれる契約形態を指します。

ここまでご紹介したとおり、SIerとはシステムの受託開発を行う企業なので、SEはSIerで働いているシステム開発における上流工程を担う人材のことを指します。

また、SESは業務上の契約形態を指していますが、システムの受託開発を行う企業の中にはSES契約のみのSES企業も存在します。

SIerの8つの仕事内容


SIerの8つの仕事をご紹介します。SIerはシステムの要件定義から開発、運用まですべての業務を全て請け負っていますが、具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか。

ここではSIerの8つの仕事をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:業務内容の聞き取りと分析

SIerの仕事には業務内容の聞き取りと分析があります。

システム開発では要件定義から設計、開発、運用と上から下に落ちるように工程を進めていく方法をウォーターフォールモデルと呼びます。ウォーターフォールモデルではまずは顧客からヒアリングを行い、業務内容の聞き取りを行います。

また、そこから顧客のニーズや課題を分析し、システムを作るために必要な情報の調査を行います。

2:コンサルティング

SIerの仕事にはコンサルティングがあります。

SIerの業務は受け身な姿勢で顧客からヒアリングを行うだけではありません。ヒアリングした内容を分析し、経験豊富なSEやコンサルタントがその分析結果をもとに改善案の提案などを行うこともあります。

SIerはコンサルティングを主としているため、顧客とコミュニケーションを取りながらより良い案を提案し、経営課題のクリアを目指します。

3:仕様決め

SIerの仕事には仕様決めがあります。

顧客とのコンサルティングが終わったら、次は実際にどのようなシステムを作るのかを決める工程に入ります。顧客の経営課題解決に必要なシステム化の対象業務の洗い出しや、システムに必要な機能の定義、業務の手順やシステムの操作などを要件定義書に纏めます。

ウォーターフォールモデルでは前の工程に戻ることは難しいため、要件定義は非常に重要なフェーズとなります。

4:システムの設計

SIerの仕事にはシステムの設計があります。

仕様が決まった後は、要件定義書をもとに実際にシステムの設計を行います。システム設計のフェーズではさまざまなものが設計対象になるため、ハードウェア設計やデータベース設計、プログラムの詳細設計、業務設計などその内容は幅広いです。

また、システム設計では設計書として内容がまとめられます。

5:ハードウェアとミドルウェアの選定

SIerの仕事にはハードウェアとミドルウェアの選定があります。

前述のシステム設計と前後しながら、ハードウェアやミドルウェアを選定していきます。たとえば、ハードウェアならディスプレイやキーボード、プリンター、ミドルウェアであればOSやデータベースなどが該当します。

6:プログラムの開発

SIerの仕事にはプログラムの開発があります。

システム設計とハードウェア、ミドルウェアの選定が終わったら、プログラムを書くフェーズに入ります。プログラミングはシステム設計で作成した設計書をもとに、決められたコーディング基準に従って、採用しているプログラミング言語を使用して行われます。

また、プログラミングは主にプログラマーが行い、コーディングのあとはレビューが行われ、デバッグなどの作業も行います。

7:ハードウェアとミドルウェアの調達と設置

SIerの仕事にはハードウェアとミドルウェアの調達と設置があります。

前のフェーズで選定したハードウェアとミドルウェアの調達と設置を行います。幅広い製品を扱っているSIerであれば1社でハードウェアからミドルウェアまで揃うこともありますが、多くの場合はハードウェアメーカーやソフトウェア会社、通信キャリア、プログラミング開発会社などのさまざまな企業が協力することになります。

8:システムの運用と保守

SIerの仕事にはシステムの運用と保守があります。システムの導入やハードウェア、ミドルウェアの設置が完了し、運用がはじまったら、顧客がシステムを問題なく利用できるようにサポートを行います。

たとえば、マニュアルを作成したり、システムを常に正しく動かしたりするための保守などを行います。また、稼働状況を監視して利用状況に応じた調整を行ったり、システムに問題が発生した場合は迅速な対応を行います。

SIerの3つの企業の種類


SIerは大きく分けて3つの種類があります。

SIerと呼ばれる企業は非常に多いですが、その種類をわけてみると「独立系」「ユーザー系」「メーカー系」の3つに分類することができます。

SIerは種類によって異なるビジネス領域や特徴を持っています。ここではSIerの3つの企業の種類をご紹介しますので、それぞれどのような特徴があるのか参考にしてみましょう。

1:独立系SIer企業

独立系SIer企業とは、ユーザー系やメーカー系以外のSIer企業です。

多くのSIerはユーザー系もしくはメーカー系に分類されるため、それ以外のハードウェアメーカーや製造、商社、金融といった企業の社員が独立してSI事業をはじめた企業をまとめて独立系SIer企業と呼びます。

独立系はさまざまな業界や企業にビジネス領域を持ち、親企業がいないため比較的経営も自由に行えます。

2:ユーザー系SIer企業

ユーザー系SIer企業とは、製造や商社、金融などの企業の情報システム部が独立したSIer企業です。

パソコンなどのハードウェアの納品先であるユーザー企業の情報システム部が分社独立することで成り立ったSIer企業です。基本的に親会社などの特定業界に向けたシステム開発などを行います。

そのため、ユーザーの業界に専門特化した形で課題解決を行えますが、特定の業界に偏ります。

3:メーカー系SIer企業

メーカー系SIer企業とは、ハードウェアメーカーの情報システム部が独立したSIer企業です。

主にパソコンメーカーなどの情報システム部が分社独立することで成り立ったSIer企業です。基本的に親会社から仕事を受注するため、親会社のハードウェアと組み合わせたシステム開発を行います。

そのため、ハードウェアからソフトウェアまでトータルで提案できる点が強みだと言えるでしょう。

SIerが創るもの5選


SIerが創るものの例をご紹介します。SIerは顧客から依頼を受けて、経営課題を解決するために顧客の業務をシステム化します。また、システム化を行うためにデータベースや管理システムなどさまざまなものを創ります。

ここではSIerが創るものの例5選をご紹介しますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

1:データベース

SIerは顧客のデータベースを創ります。

システムを利用する場合はデータを保存し、必要なときに引き出せるデータベースが必要になります。これまで紙ベースで作業を行っていた業務をシステム化する場合も、新しくデータベースを用意する必要が発生します。

たとえば人事システムなら人事データベース、営業管理システムなら営業データベースなど、必要に応じて作成することになります。

2:管理システム

SIerは在庫管理システムや生産管理システムなどを創ります。顧客がメーカーの場合、工場での製品の生産管理や素材・原料などの管理、完成した製品の在庫管理など、材料の仕入れから製品の出荷までの一連の流れをシステム化することになります。

そのため、SIerが創る在庫管理システムや生産管理システムは、常に営業状況などを踏まえてリアルタイムで管理できるような仕組みになっている必要があります。

3:営業ツール

SIerは営業ツールなどを創ります。SFAと呼ばれる営業ツールは、顧客の前でノートパソコンやタブレットなどのデバイスを使い、自社製品を魅力的に説明できるものである必要があります。

SIerでは、このSFAツールをどのデバイスで使うのか、また、どのような情報をどういった形で見せるのかといったアイデアも提案し、システム化してくれます。

4:顧客向けツール

SIerはエンドユーザー向けツールなどを創ります。SIerでは企業内のシステムだけでなく、直接企業の業績に関係してくる顧客向けのシステムも創ります。

たとえば企業の消費者向けのホームページや、ネットショッピングができるECサイトと流通システム、さらにオンラインバンキングシステムなど、さまざまなエンドユーザー向けツールを創ります。また、スマホ専用サイトを創ることもあります。

5:全部包括したシステム

SIerは全てを包括したシステムも創ります。SIerではここまでご紹介したものや、ここではご紹介しきれなかったものも含めて、すべてを統合した大きなシステムを創ることもあります。

また、大手SIerの場合は個別にシステムを創るよりも、人事や生産、営業、流通、会計などさまざまなシステムを統合し、連携した包括的な統合型ERPシステムを創ることの方が多いでしょう。

SIer企業への就職に有利になる資格3選


SIer企業への就職に有利になる資格をご紹介します。SIer企業への就職を希望している人の中には、どのような資格が有利になるのか知りたいという人もいるのではないでしょうか。

ここでは最後にSIer企業への就職に有利になる資格3選をご紹介しますので、資格取得の参考にしてみてください。

SIer企業への就職に有利になる資格1:ITパスポート

ITパスポートはITを活用する社会人に必要なITの基本的な知識を持っていることを証明できる国家試験です。

通称iパスと呼ばれている資格で、学生から社会人まで毎年多くの人が受験しています。ITに関する基礎的な内容となっているため、エンジニアだけでなくITを利用するすべてのビジネスパーソンが取得しておくべき資格だと言えます。

そのため、最初に取得する資格としてもおすすめです。

SIer企業への就職に有利になる資格2:基本情報技術者試験

基本情報技術者試験はIPAが認定しているITエンジニアとしてのキャリアをスタートするのにおすすめの国家試験です。

情報処理技術者試験の1つで、スキルレベルは2相当となっています。高度IT人材になるための基本的なITスキルや知識などを認定する資格です。

また、出題範囲はコンピュータ科学の基礎やシステム開発と運用、ネットワークやデータベース、セキュリティなど幅広い内容が出題されます。

SIer企業への就職に有利になる資格3:応用情報技術者試験

応用情報技術者試験はIPAが認定しているワンランク上のエンジニアになるための国家試験です。

基本情報技術者試験と同じく情報処理技術者試験の1つで、スキルレベルは3相当となっています。試験範囲は基本情報技術者試験と同じですが、より詳しい内容まで出題されます。

基本情報技術者試験をパスしたエンジニアが次に取得を目指す試験という位置づけになっています。

SIerが抱える課題とは


SIerは残業が多く、労働集約的な働き方になるという課題があります。

SIerではクライアントから仕事を受注してシステム開発を行っているため、納期までに仕事が完了するように仕事を進めなければいけません。最初からタイトなスケジュールになっていることも多いため、残業ありきの働き方になりがちです。

また、システム開発には人の手が必要になるため、労働集約的な働き方になり、休みも取りにくいと言われています。

転職する前にSIerとは何かしっかり理解しよう!


SIerとは、企画の提案から仕様の決定、システム設計や開発、ハードウェアやミドルウェアの選定や設置、運用保守まですべてを請け負う存在です。

また、ひと口にSIerと言っても、その種類はメーカー系やユーザー系、独立系などさまざまです。

ぜひこの記事でご紹介したSIerの仕事内容やSIerの3つの企業の種類、SIerが創るものなどを参考に、SIerとは何なのかしっかりと理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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