システム開発のスピードを上げるスクラム開発とは?メリット・デメリットも解説

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システム開発スピードを上げるスクラム開発とは?


スクラム開発はアジャイル開発の一種です。スクラム開発の際には、まずスクラムチームを結成します。

スクラムチームは、責任者であるプロダクトオーナーを決めなければなりません。さらに、作業を行うメンバーである開発チームとそのリーダーとしての役割を担うスクラムマスターで構成されます。

プロジェクト全体はスプリントという1ヶ月以内の短い期間で区切ります。1つのスプリントの中で達成すべきイベントをスクラムイベントと呼び、スプリント単位で計画を立てて実行していく手法です。

1つのスプリントが完了すると、スプリントレビューを行います。スプリントレビューというのは、スプリント全体を振り返り、成果物に対して評価し合い問題点を議論するものです。

さらにスプリントレトロスペクティブを行い、ツールや人間関係などの観点からスプリントを評価します。スプリントレビューやスプリントレトロスペクティブの内容は次のスプリントに活かされ、より効率化が図られる仕組みです。

アジャイル開発とは

アジャイル開発の「アジャイル(Agile)」とは、日本語では「素早い」「機敏な」といった意味の言葉です。

アジャイル開発では開発工程を大きな工程で区切らず、小さな単位で実装とテストを繰り返しながら開発を進めていきます。

そのため、名前のとおり、従来のウォーターフォールモデルよりも素早い開発が可能になります。

システム開発でスピードを重視する企業が増加


日本情報システム・ユーザー協会は「企業IT動向調査2019」の中で、「システム構築時の重要事項」について調査を実施しました。

これは基幹系、業務支援・情報系、Web・フロント系、管理業務系の4つの業務システム分野に分けて、重視する項目の割合を調査したものです。

品質を重視する企業は多く、全体的に高い数値を示しています。ただ大きな増加は見られず、前回の調査結果と比べてほぼ横ばいの傾向です。

コストを重視する企業は、基幹系と管理業務系で大きく増加しました。

開発スピードを重視する企業に関しては、4つの分野全てで増加しています。現状の割合は低いですが、スピードを重視する企業が増えていることがうかがえるでしょう。

スクラム開発のメリット5つ


スクラム開発を行うことで、従来の開発手法に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではスクラム開発のメリットをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

1:短期間で成果を上げることができる

スクラム開発は、システム開発において優先的な機能から順番に開発を進めていくという特徴があります。

工程に従って順番に開発を進めていくウォーターフォールモデルよりも優先順位の高い機能が早い段階で動作するようになり、クライアントにも実際に触りながら確認してもらえます。

そのため、短い期間でも高い成果を上げられると言えるでしょう。

2:プロジェクトの工数見積もりが正確になる

ウォーターフォールモデルのシステム開発の場合、特に年単位の規模の大きなプロジェクトでは終盤の見積もりが難しく、工数見積もりでのズレがプロジェクトの失敗に繋がりやすいです。

しかしスクラム開発の場合は短い工数で開発を区切り、何度も開発とテストを繰り返すという特徴があるため、随時正確な見積もりを立てられます。

3:自立的なチーム作りが可能

スクラム開発では「デイリースクラム」と呼ばれる朝のミーティングを毎朝行うことになります。

そのため、チーム全体で作業をしている感覚が身につきやすく、自然にチームワークが生まれて自律的なチームを構成することができます。

4:問題検知が早い

前述のとおりスクラム開発はコミュニケーションをしっかり取るシステム開発手法です。

毎朝のデイリースクラムによって現在の進捗や問題点などを確認することになるため、潜在的な問題があった場合でも、チーム内で早期に問題を検知できます。

5:早期に問題修正ができる

問題検知が早いということは、問題の修正も早期に行えるということでもあります。また、スクラム開発の場合は優先的な機能から実装していくため、早い段階でクライアントに確認してもらえます。

そのため、実装された機能がクライアントが思っていたものと違っていた場合でも、早い段階で軌道修正できます。

スクラム開発のデメリット3つ


さまざまなメリットがあるスクラム開発ですが、従来のシステム開発手法とは大きく異なることから、いくつかのデメリットもあります。

ここではスクラム開発のデメリット3つをご紹介しますので、参考にしてみてください。

1:習得が困難である

スクラム開発はこれまでのウォーターフォールモデルのシステム開発とは大きく異なります。
ウォーターフォールモデルからスクラム開発への移行を行う場合、チーム全員がスクラム開発について理解し、習得する必要があります。

また、チーム全体のチームワークも重要なので、簡単に移行することはできないでしょう。

2:顧客の協力が必要である

スクラム開発での早い開発サイクルを回すには、クライアントからの早期のフィードバックが必須です。

そのため、クライアントにもスクラム開発について理解してもらい、事前に協力してもらえるように取り付けておかなければいけません。

3:いつ完了するのかよめない

スクラム開発では短く区切った開発工程のことを「スプリント」と呼び、スプリントごとに開発範囲の決定と開発、レビューを行います。

そのため、初期段階ではその開発プロジェクトで何回スプリントが発生するのかわからず、開発終了予定日を立てることができません。

スプリントの流れ5つ


スクラム開発では「スプリント」という2週間~4週間ほどの短い期間で開発工程を繰り返すことで、機能を実装したプロダクトを定期的にリリースし、クライアントからフィードバックを得ることになります。

それでは、具体的にスプリントとはどのような流れで行われるのでしょうか。ここではスプリントの流れを5つご紹介していきます。

1:バックログを作る

スプリントでは、まずはバックログと呼ばれるプロダクトで実装しなければいけない機能を優先度の高いものからまとめたリストを作成します。

スクラム開発でのバックログには「プロダクトバックログ」と「スプリントバックログ」という2種類がありますが、最初に作るのはプロダクトバックログです。

2:スプリントプランニングミーティングの開催

作成したバックログの中から、今回のスプリントで実装する機能を選びます。このようなスプリント期間中に実装するバックログのことをスプリントバックログと呼び、スプリントバックログを決めるミーディングがスプリントプランニングミーティングです。

スプリントプランニングミーティングでは、予測どおりタスクを完了させられるかも検討します。

3:デイリースクラムを行う

デイリースクラムは毎日決まった時間に行われるミーティングです。基本的に毎朝チームメンバー全員で進捗報告を行い、状況に応じて1日の作業を決定します。

スクラム開発はコミュニケーションを重視したシステム開発手法となるため、全員で話し合う機会が多いです。また、デイリースクラムでは問題点なども共有し、早期に解決することが重要です。

4:スプリントレビューを行う

スプリントレビューはスプリントの最終日に実施する機能評価のことです。スプリントでの開発作業が問題なく進み、レビュー可能な状態であればテストとレビューを行います。

スプリントレビューではバックログの基準を満たしているかどうかをポイントとしており、チームメンバーだけでなくクライアントなどのステークホルダーにも参加してもらうことが大切です。

5:スプリントレトロスペクティブの開催

スプリントレトロスペクティブとは、スプリントの振り返りミーティングです。スクラム開発では複数回のスプリントを繰り返すことで開発を進めていきますが、スプリントの最終日にはレビューと同時にスプリントレトロスペクティブも行うことになります。

スプリントレトロスペクティブで見つかった課題は、次のスプリントで改善していくことになります。

システム開発のスピードを上げるスクラム開発を取り入れてみよう


スクラム開発はスプリントと呼ばれる短い開発期間での開発を繰り返しながら、優先度の高い機能から順に開発を行っていくものです。

従来のウォーターフォールモデルとは異なり、短い工期で開発ができるというメリットがありますが、クライアントからの協力が必要不可欠になります。

しっかりとした準備を行い、システム開発をスピードアップできるスクラム開発を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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