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日本を取り巻く仕事の現状
働き方改革が提唱され、日本の企業における働き方が見直されるようになってきました。
現在、日本においては少子高齢化が進み、1995年をピークに労働力の中心と言われる16歳から64歳までの生産年齢に該当する人口は減少傾向にあります。
また、社員に長時間労働を強いる企業を指す「ブラック企業」や過剰労働が引き起こす過労死も大きな問題となっています。
かつての日本では、「企業戦士」などの言葉が表すように、かねてから家庭や私生活を犠牲にしてすべてを企業に捧げて働く姿が賞賛され、美徳とされてきました。
以前と比べれば、労働時間は減少傾向にあるものの、欧米諸国と比較すると日本の労働時間は多いです。
一方で、一人当たりの労働者が生み出す成果を現す指標に「労働生産性」があります。
この労働生産性を世界の国々と比較すると、日本の労働生産性は21位で、欧米諸国と比較すると低いものとなっています。
一方、労働生産性が世界で最も高い値の国はアイルランドでした。
理由としては、出生率の高さと外資系企業が参入しやすい環境にあることなどが理由とされています。(公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2018」より)
ストレスマネジメント
これまで言われてきた「タイムマネジメント」は、時間を管理し、ストレスの有無にかかわらず、目標達成のために効率よくタスクを処理することを指します。
ストレスマネジメントとは、ストレス負荷のかかる仕事、ストレス負荷のかからない仕事のバランスを考え、自分のストレスをコントロールしていくというものです。
同じ労働時間数であっても、ストレスのかかる業務が多ければ自分のストレスは増加し、逆にストレスの少ない仕事であれば、労働時間が長くなってもそれほど心身への負担は大きくならないという考え方です。
ストレスマネジメントの方法としては、自分がストレスを感じる業務に関しては他の人に協力を仰ぎ、ストレスを感じにくい業務は他の人を助けるなど、適材適所の考え方を用いて仕事を進めていくことが挙げられます。
また、筋力トレーニングやジョギングなどの運動を取り入れて健康チェックをすることも大切です。
運動を楽しめる余裕があれば、精神的にも健康的であることの目安にもなり、運動によって自分自身のストレス状態をチェックすることができます。
ストレスマネジメントを理解しておく理由
そもそもストレスとは、心身に受ける刺激のことを指します。
ストレスの原因は様々で、疲労や病気といった身体的要因・心配事や不安感などの心理的要因に加え、引越しや転職など取り巻く環境が変化することもストレスを引き起こすものです。
ストレスは悪いことばかりではなく、適度なストレスは心身への良い刺激となり、人の成長を促すものとなるでしょう。
しかし過度のストレスにさらされる状況下では、調子を崩したり生産性の低下につながる恐れがあります。
職場におけるストレスマネジメントは、社員を過度のストレスから守り、仕事の作業効率向上のために欠かせません。
エンジニアにとっても、ストレスマネジメントは知っておいた方が良いことに変わりはなく、転職活動の際には、企業がどのような取り組みをしているのか把握しておくことが大切でしょう。
働き方を改善するストレスマネジメントの方法7つ
働き方を改善するためのストレスマネジメントには、主に7つの方法が考えられます。
以降でご紹介する7つのストレスマネジメントを参考に、働き方を改善して生産性アップを目指しましょう。
1:ラインケアを行う
働き方を改善するストレスマネジメントに、「ラインケア」があります。
ラインケアとは、職場の上司など管理責任者が主体となって、従業員の健康管理を実行することです。
職場の管理責任者は、日常的に職場全体を見渡すポジションにいます。
職場の管理責任者がストレスマネジメントを担うことで、従業員の変化にいち早く気づいたり、職場環境の改善など働き方の改革もスムーズに進むことが期待できるでしょう。
2:セルフケアを行う
「セルフケア」も、職場の働き方を改善するために必要なストレスマネジメントです。
セルフケアとは、従業員が各自のストレスマネジメントに責任を持つことを指します。
過度のストレスを受けた時に自分にどのような変化が生じるか理解していないと、ストレスへの対処が遅れてしまうでしょう。
セルフケアでは各従業員がストレスに対する知識を持ち、ストレス下で自分に生じる変化について理解していることが必要です。
3:社員の過労度チェックする
働き方改善につながるストレスマネジメントとして、社員の過労度チェックは欠かせません。
過労は、身体的にも精神的にも過度のストレスとなって、体調を崩す原因になります。
過労度チェックを活用してストレスマネジメントを適切に行うことで、従業員の体調不良による休職などの事態が避けられるでしょう。
4:チーム内におけるコミュニケーションの向上
チーム内のコミュニケーションを向上させることで、働き方の改善につながるでしょう。
社内の人間関係の良し悪しは、ストレスの原因の1つです。
チーム内のコミュニケーションを良好に保つことで人間関係も改善され、職場内でのストレスを減らせるようになります。
さらに、チーム内でのコミュニケーションが良い状態だと、本人にもわからない体調の変化を、チームメンバーが気づく可能性があります。
ストレスマネジメントの観点からも、コミュニケーションの向上は働き方の改善にとって大切なポイントになります。
5:長時間労働の是正
長時間労働による弊害の1つとして、意欲の低下や抑うつ状態など、従業員の体調不良を引き起こす危険があることです。
疲労困憊の状態が続くことで判断力が低下し、ストレス緩和のための適切な対処行動を取れなくなる場合もあるでしょう。
長時間労働の是正は、働き方改善のためのストレスマネジメントとして重要です。
6:職場環境の改善
1日のうち多くの時間を過ごす場所である職場環境の整備は、ストレスマネジメントにとって大切なポイントの1つです。
職場環境には、温度・湿度・明るさといった物理的な環境のほか、人間関係などの社会的な環境も含まれます。
職場環境を改善することで、より良い環境で社員が仕事をこなせるように働き方の改善を目指すと良いでしょう。
7:福利厚生の充実
福利厚生は、仕事を選ぶ動機として主たるものではないこともあります。
しかし福利厚生が充実していることで、従業員の職場に対する満足度が向上し、働き方の改善につながることが期待できます。
ストレスマネジメントの一環として、福利厚生の充実を検討してみましょう。
働き方を改善するストレスチェックの流れ3つ
働き方改善のためのストレスチェックには、大きく3つの流れがあります。
「社員に対する事前告知」、「質問表の配布・記入勧奨」、「結果分析・働き方の改善」というステップです。
以降で、各段階についてご紹介していきます。
1:社員に対する事前告知
働き方を改善するストレスチェックの最初のステップは、社員に対する事前告知です。
ストレスマネジメントにおいて、従業員がどの程度のストレスを受けているのかは知っておく必要があります。
ストレスチェックは、従業員のストレスの程度を知るのに適したツールと言えます。
社員にストレスチェックを実施することとその目的を事前告知しておくことで、スムーズにストレスチェックが行えるでしょう。
2:質問票の配布・記入勧奨
働き方を改善するストレスチェックのステップ2つ目は、質問票の配布と記入の勧奨です。
厚生労働省が推奨している「職業性ストレス簡易調査票」は、質問が57項目用意されています。
質問数が多いように感じる従業員もいますが、ストレスマネジメントに必要なチェックであるため、記入するように勧めましょう。
出典:職業性ストレス簡易調査票(57項目)|厚生労働省
参照:https://stresscheck.mhlw.go.jp/material.html
3:結果分析・働き方の改善
働き方を改善するストレスチェックの最後のステップは、結果の分析と働き方の改善です。
ストレスチェックの結果を本人にフィードバックすることで、自分のストレス状況を把握し、対処行動を促す効果があります。
さらに、従業員全体の結果をまとめて分析することで、職場の問題点をあぶり出し、働き方を改善するための対策を講じることに役立ちます。
働き方を支援するストレスマネジメントのメリット4つ
職場におけるストレスマネジメントのメリットには、社員の健康管理と維持・生産性の向上のほか、ハラスメントの防止や労働の質向上も含まれます。
ストレスマネジメントをすることで、働き方をより良いものに変えていくきっかけとしていきましょう。
1:社員の健康管理・維持
ストレスとは何か、心身にどのような影響があるのかを知ることがストレスマネジメントの目的の1つです。
ストレスについての理解を深めることで、自分で気づかないうちに心身に受けている負担を知り、適切な対処を取ることにつながります。
ストレスマネジメントの実施により、社員の健康管理や維持に役立てられるでしょう。
2:生産性の向上
職場におけるストレスは、仕事の生産性に影響することがわかっています。
ストレスを受けていると自覚する従業員数が増加するにつれて、生産性は低下すると言われているのです。
ストレスは個人にとってだけではなく、会社全体に対しても悪影響を及ぼす恐れがあることから、ストレスマネジメントによって良い働き方を実践することは重要でしょう。
3:ハラスメントの防止
ハラスメントには、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント・モラルハラスメントなど様々な種類があります。
ハラスメントは、職場におけるストレスの原因の1つです。
ストレスマネジメントの実施は、職場内にはびこるハラスメントをあぶり出して防止することに役立つでしょう。
4:労働の質の向上
職場でのストレスによる悪影響は、個人に対してだけ及ぶものではありません。
ストレスによる生産性の低下が個々の従業員に起こってしまうと、職場全体の生産性に影響するでしょう。
生産性の低下は企業の利益に悪影響を与える恐れがあるため、職場内のストレスはできる限り排除することが望ましいと言えます。
ストレスが減少することで、労働の質の向上が期待できるでしょう。
ストレスマネジメントについて理解しておこう
ストレスを強く感じた状態では、思考や作業効率も悪くなり、タイムマネジメントをしっかり行っても、それだけでは対応できないことがあります。
自身のストレスをマネジメントしていくことは、自分自身の健康のためにも、仕事の生産性を上げるためにも重要なことだと言えるでしょう。
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