ローカル5Gと5Gの違い5つ|ローカル5Gの将来性と問題点を解説

ローカル5Gと5Gの違い5つ|ローカル5Gの将来性と問題点を解説
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ローカル5Gとは?


ローカル5Gとは、自治体や地域の企業が自分の建物や敷地内だけで構築できる5Gシステムです。

携帯キャリアが提供する5Gと違い、サービス提供が遅れる地域でも先行して利用できます。使用目的に応じて必要な性能を柔軟に設定でき、通信障害や災害の影響を受けにくい点も魅力です。

ローカル5Gの現状


ローカル5Gは28GHz帯を使用することに関係したデメリットがあったため、ローカル5Gを活用したビジネスの広まりには至っていません。

ローカル5Gは障害物に遮られやすく、遠くへ飛ばしにくいという大きなデメリットがあります。そのため、2019年に電波免許取得が行われ、さまざまな企業が参入したローカル5Gですが、現状ローカル5Gを使用したビジネスは活発化しているとは言えません。

ローカル5Gと5Gの違い5つ


ローカル5Gと5Gの違いは、総務省から割り当てられる電波の周波数が異なることです。

5Gはキャリアに対して割り当てられていますが、ローカル5Gは免許申請した団体に割り当てられます。通信に利用する周波数も異なり、2019年には先行して28GHzの一部帯域がローカル5Gに制度化されました。

ローカル5Gに異なる周波数を割り当てて、キャリアからの影響を受けないように工夫されています。

1:広範囲のサービスエリアで使える

5Gは提供されるサービスエリアが限定的で、4Gよりも電波の飛距離が短いので範囲が制限されますが、ローカル5Gは対象地域内では制限なく利用できます。

自己所有の建物や敷地内で利用できるローカル5Gは、借地の場合でも設置可能です。道路をまたいだり、他者の所有地をまたいだりした通信もOKです。

Wi-Fiよりも広い地域をカバーできるので、大規模な工場ではローカル5Gを活用するほうが、利用価値があります。

2:どのキャリアでも使える

ローカル5Gと5Gの違いはキャリアに左右されないので、サービス提供が遅れる地域でも先行して利用でき、通信が混雑しても安定利用できることです。

ローカル5Gはキャリアの展開を待たなくても、団体が申請すれば独自に設備や機器を整えて利用することが可能です。

キャリアの動向を気にせず自前でネットワーク構築ができるので、企業や自治体の予定通りに運用開始できます。

3:通信障害や災害にでも使える

ローカル5Gは独立しているので、大規模イベントや災害発生時の利用者の急増に伴う接続トラブルにも左右されず、安定利用できます。

5G向け周波数は障害物に弱い特性がありますが、衛星通信の影響を受けない場所であれば、利用価値が高く、工場や診察機関、インフラ設備など停止できない現場で効果を発揮します。

自営でローカルネットワークを構築しているので災害時も稼働停止はありません。

4:自分で5G通信環境を構築できる

ローカル5Gは必要条件を満たして免許を受ければ、自分で5G通信環境を構築することができます。

ローカル5Gは技術的には5Gと同様のものですが、免許を取得することで誰でも5Gネットワークを構築することが可能となっています。

ただし、ネットワークを構築できるのは自身が所有している土地や建物での利用に限定されており、5Gネットワークを無制限に開局できるというものではありません。

5:セキュリティ面の強さ

ローカル5Gは外部ネットワークから遮断された環境でデータ通信を行うため、5Gと比べてセキュリティ面も高いと言えます。

5Gは公共で使用されているパグリックなネットワークとなっていることから、他のエリアで発生した通信トラブルやネットワークの混雑具合などに影響を受けることがあります。

しかしローカル5Gであればローカルな環境で使用できるため、セキュリティも強固になります。

ローカル5GとWi-Fiの違いとは?


ローカル5GとWi-Fiではどちらも通信速度はギガビット級で複数デバイス接続でも高速通信が可能ですが、ローカル5Gの方がセキュリティ強度が高いという違いがあります。

また、Wi-Fi6とローカル5Gを比較すると、周波数帯や認証方式、通信遅延、コストなどにも違いがあります。Wi-Fiの場合、免許は不要ですが通信の安定性は低く、一方ローカル5Gは免許を必要としますが安定性は高いです。

ローカル5Gの今後の将来性6つ


ローカル5Gを利用するとIoTの普及を促進し、安定した通信でさまざまな可能性を秘めています。

敷地内に構成されるローカル5Gは、安定した通信で遠隔操作が可能になるのでIoTの普及に役立ち、診察現場でも利用できます。高速で大容量データの送信ができるので、テーマパークでのVRアトラクションを楽しむことも期待できます。

ローカル5Gは私たちの暮らしを支え、楽しく豊かにします。

1:IoTの普及の手助け

ローカル5GはIoTに利用できる低遅延通信なので、導入によりIoTの普及を進めることができます。

IoTは複数のデバイスが集めた情報をクラウド上のサーバーに転送して、相互にやり取りしてデバイスを制御します。Bluetoothは短距離用、通信距離が長い場合はローカル5Gを使います。

ローカル5Gは遅延許容度が低いので工場や建設現場の遠隔制御に使え、IoTの普及を後押しします。

2:遠隔監視が可能

ローカル5Gは監視カメラに利用できるので、自治体が河川の増水などを遠隔監視できます。

インフラの監視カメラやセンサーに利用できるローカル5Gは、人々の暮らしの安全を守ります。自然災害の発生を事前に察知するために、河川やダム、火山活動の監視に利用可能です。

通信障害や災害の影響を受けにくい面も、インフラ監視に役立ちます。

3:安心した通信の提供が可能

ローカル5Gはオープンネットワークに接続しないので、安心した通信を確立できます。

ローカル5Gは障害物があると通信が切れる特性があり、建物内から情報漏洩を防ぐことができます。Wi-Fiは通信エリアを区切れませんが、ローカル5Gは建物内の決まった場所しか電波が届かない設定も可能です。

キャリア5Gより広範囲をカバーできない特性は、セキュリティ対策に効果を発揮します。

4:テーマパークで使用可能

ローカル5Gで、臨場感溢れる体験システムやVRアトラクションを将来的に利用できるかもしれません。

ローカル5Gの多接続で低遅延の特性を活用すると、大勢のユーザーでの使用も可能です。スポーツや音楽のライブ映像の配信や映画の同時翻訳も夢ではありません。観光施設での没入感体験システムの導入も可能です。

テーマパークやスタジアムは、異次元の体験ができるゾーンに生まれ変わります。

5:スマートファクトリーで使用可能

ローカル5Gは帯域をカスタマイズして、スマートファクトリーで活用できます。

ローカル5Gオープンラボのユースケースでは、スマートファクトリー内のカメラによる自動監視は受信よりも送信に多く帯域使用することが多いので、帯域幅をカスタマイズして送信幅を広げると送信速度を高めることができました。

監視カメラの無線化で、工場のレイアウト変更が簡単にできるメリットもあります。

6:制御システムとして使用可能

ローカル5Gは建設機械などの制御システムとしても活用できます。

ローカル5Gとは、地域の企業や自治体が自ら管理している建物や敷地内で、地域や産業が抱えているそれぞれのニーズに対して柔軟に5G環境を構築できるものです。

また、通信障害などの影響も受けにくいことから、ゼネコンが建設現場にローカル5Gを導入することで、建設機械やロボットなどを遠隔制御することもできます。

ローカル5Gの問題点6つ


ローカル5Gを利用するためには環境整備にかかるコストの問題と運用のノウハウが難しいことが課題です。

基地局を整備するための装置や設備の負担が大きいことや高額な通信料金が普及を妨げています。参入するためには知識が必要ですが、人材育成が追い付かない状況です。

4Gで満足して5G導入の必要性に疑問を感じる利用層が多く、スロースタートになっていることも早期に展開できない壁になっています。

1:5Gの知識不足

ローカル5Gの参入には知識が必要ですが、基礎的な技術も人材育成も間に合っていない状況です。

ローカル5Gが使用する周波数の中で、28GHzは早期の制度化対象です。しかし28GHzは直進性が高く障害物に弱いのでネットワーク設計に高度な技術が必要で、運用にもノウハウが求められます。

28GHzのスタンドアロン構成のための機材開発も不透明で、官民一体で技術開発を行っています。

2:スマホ利用者の5Gの需要が見込めない

ローカル5Gがスロースタートな理由は、スマホ利用者の中に5Gの需要が見込めないからです。

遠隔操作に利用したい産業界や自治体のローカル5Gに対する需要は高いですが、4Gで満足するスマホ利用者にとって5Gを使う魅力はありません。

乗り換え需要がなければキャリア5Gのサービス展開は鈍く、基地局整備コストが下がらないのでローカル5G展開の足かせになっています。

3:導入費用がかかる

ローカル5G導入の課題はコストが妥当か保証されていないことです。

基地局やネットワークの整備、端末代金の他に電波利用料が必要です。基地局1基当たり年額2,600円、端末は包括免許で1台当たり年額370円です。IoT利用は、端末は同じですが、基地局が19,000円です。(2020年9月時点)

総務省は開発実証に対して補助金を交付していますが、ローカル5GでIoTを利用する場合、使い方次第で高額になる恐れがあります。

4:ネットワークスライシングが使えない

ローカル5GはNSA(ノンスタンドアロン)運用なので5Gの新しい技術を全面的に盛り込んだ利用ができません。

NSAは4GLTEと5Gを組み合わせた構成の基地局を使い、従来の4GLTEの施設をそのまま利用します。導入は容易ですが、5Gの特徴である必要に応じて仮想ネットワークを作る「ネットワークスライシング」を利用できません。

キャリアのプライベート5G利用のほうが、メリットが多くなる可能性もあります。

5:遮蔽物に弱い

ローカル5Gの周波数帯は28GHz帯のようなミリ波が使用されることから、遮蔽物に弱いというデメリットがあります。

ミリ波の周波数帯は直線型となっており、直線状の通信に強みを持つ一方で、高いビルなどの遮蔽物があった場合に通信が切断されやすいという特徴があります。

そのため、遮蔽物がない広い工場内であれば安定した通信が実現できますが、遮蔽物の多いエリアでは通信が安定しない可能性があるでしょう。

6:免許取得手続きに時間がかかる

ローカル5Gを使用する場合は免許を取得する必要がありますが、定められた要件を満たす必要があるため時間がかかります。

ローカル5Gの免許取得の要件として、使用する土地や建物の所有者、借地権を持った土地利用者、もしくは所有者から依頼されている事業者でなければなりません。

また、申請書だけでなく基地局開設目的や設置場所などを記載した資料を用意する必要があり、申請から取得まで2ヵ月程度の時間がかかると言われています。

ローカル5Gを理解して転職に繋げよう


ローカル5Gは企業や自治体が導入できるネットワークで、IoTや各種の遠隔操作に利用できます。

安全で通信障害の影響を受けないローカル5Gは、工場や診察現場での遠隔操作やIoT利用を期待されています。しかし、基地局やネットワーク整備費用が高額で、運用のノウハウが確立されていません。

IoT普及はローカル5G展開次第なので、コスト面の課題克服と人材の育成、低価格機材の開発が急務です。

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