Rubyの範囲オブジェクトとは?繰り返しや比較など使い方を解説

エンジニア
マネージャー
そもそもオブジェクトとは
オブジェクトとは、オブジェクト指向という言葉で頻繁に利用される言葉です。
オブジェクト指向というのは、共通点や関連性があるデータやメソッドをまとめて管理して行う管理手法です。操作対象に重きを置いた設計のことをオブジェクト指向言語と呼び、Rubyはオブジェクト指向言語です。
今はオブジェクト指向言語が主流なので、Rubyを学んでおいて損はありません。
Rubyの範囲オブジェクトについて
Rubyにおける範囲オブジェクトとは、最初の値と最後の値の範囲を示すものです。範囲は数値の範囲から文字の範囲、日付の範囲などを指定できます。
範囲オブジェクトを指定する場合は、Range.new もしくは「..」、「…」という範囲式を使用することで簡単に連続する値が作成できます。「..」の場合は終端を含みますが「…」の場合は終端を含まないという違いがあります。
範囲オブジェクトが使われるケース
順番に値を取得する場合や、値が範囲内に含まれているかどうかの確認などに利用されます。
for文による繰り返し処理にも使用可能で、例えば
1 2 3 |
for i in 'a'..'d' p i end |
を実行することで
1 2 3 4 |
"a" "b" "c" "d" |
という結果が得られます。
Rubyの範囲オブジェクトの使い方
ここからはRubyの範囲オブジェクトの具体的な使い方を紹介します。範囲オブジェクトの作成や範囲オブジェクトの繰り返し処理、範囲オブジェクトの要素数、範囲オブジェクトの比較について説明します。
コード例も載せているので、自分で実際に書いてみて学んでいきましょう。
範囲オブジェクトの作成(..)
Rubyの範囲オブジェクトは「first..last」で作成できます。firstは範囲開始値、lastは範囲終了値で、firstからlastまでの値の範囲を表します。また、firstとlastは大小の比較ができるものでなければなりません。そのため、数値・文字・日付の範囲などを扱えます。
実際のソースコードを見てみましょう。
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require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = 1..5 range2 = 'a'..'e' range3 = Date.parse("2020-06-01")..Date.parse("2020-06-05") puts range1 puts range2 puts range3 |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 |
1..5 a..e 2020-06-01..2020-06-05 |
Rubyに正しく認識されていることが分かります。
また、範囲オブジェクトは「…」でも作成できます。
この場合、lastはオブジェクトに含みません。
実際のソースコードを見てみましょう。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 |
require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = 1...5 range2 = 'a'...'e' range3 = Date.parse("2020-06-01")...Date.parse("2020-06-05") puts range1 puts range2 puts range3 |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 |
1...5 a...e 2020-06-01...2020-06-05 |
このように、Rubyの範囲オブジェクトは「..」または「…」で作成できます。
範囲オブジェクトの作成(new)
Rubyの範囲オブジェクトは、Rangeクラスの「new」メソッドで作成できます。
以下のように記述します。
Range.new(first, last[, exclude_end])
exclude_endは、範囲にlastを含むか否かを指定する引数で、省略できます。
・true : lastを含まない
・false : lastを含む
省略した場合は、falseと同じです。
実際のソースコードを見てみましょう。
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require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = Range.new(1, 5) range2 = Range.new(1, 5, true) range3 = Range.new(1, 5, false) range4 = Range.new('a', 'e') range5 = Range.new('a', 'e', true) range6 = Range.new('a', 'e', false) range7 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05")) range8 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05"), true) range9 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05"), false) puts range1 puts range2 puts range3 puts range4 puts range5 puts range6 puts range7 puts range8 puts range9 |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 |
1..5 1...5 1..5 a..e a...e a..e 2020-06-01..2020-06-05 2020-06-01...2020-06-05 2020-06-01..2020-06-05 |
このように、Rubyの範囲オブジェクトはRange.new()でも作成できます。
範囲オブジェクトの繰り返し処理(each)
範囲オブジェクトは、each文で繰り返し処理ができます。
実際のソースコードを見てみましょう。
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require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = Range.new(1, 5) range2 = Range.new('a', 'e') range3 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05")) # 数字の繰り返し range1.each do |i| puts i end # 文字の繰り返し range2.each do |i| puts i end # 日付の繰り返し range3.each do |i| puts i end |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 |
1 2 3 4 5 a b c d e 2020-06-01 2020-06-02 2020-06-03 2020-06-04 2020-06-05 |
このように、each文で繰り返し処理ができます。
また、eachの代わりにreverse_eachを使用すると、逆順に繰り返し処理ができます。
範囲オブジェクトの繰り返し処理(for)
範囲オブジェクトは、for文で繰り返し処理ができます。
実際のソースコードを見てみましょう。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 |
require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = Range.new(1, 5, true) range2 = Range.new('a', 'e', true) range3 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05"), true) # 数字の繰り返し for i in range1 puts i end # 文字の繰り返し for i in range2 puts i end # 日付の繰り返し for i in range3 puts i end |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
1 2 3 4 a b c d 2020-06-01 2020-06-02 2020-06-03 2020-06-04 |
exclude_endにtrueを指定しているので、lastが含まれていないことが分かります。このように、for文で繰り返し処理ができます。
範囲オブジェクトの要素数(size)
範囲オブジェクトの要素数は、sizeメソッドで取得できます。
実際のソースコードを見てみましょう。
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require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = Range.new(1, 5) range2 = Range.new(1, 5, true) range3 = Range.new(1, 5, false) range4 = Range.new('a', 'e') range5 = Range.new('a', 'e', true) range6 = Range.new('a', 'e', false) range7 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05")) range8 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05"), true) range9 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05"), false) puts "数字の範囲オブジェクト 要素数" puts range1.size puts range2.size puts range3.size puts "文字の範囲オブジェクト 要素数" puts range4.size puts range5.size puts range6.size puts "日付の範囲オブジェクト 要素数" puts range7.size puts range8.size puts range9.size puts "終了" |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 |
数字の範囲オブジェクト 要素数 5 4 5 文字の範囲オブジェクト 要素数 日付の範囲オブジェクト 要素数 終了 |
sizeメソッドはfirst、lastのいずれかのオブジェクトがNumericクラスのオブジェクトではない場合、nilを返します。そのため、range1~range3の要素数のみが出力されます。
範囲オブジェクトの比較(include?)
範囲オブジェクトに要素が含まれているか否か、include?で比較できます。
実際のソースコードを見てみましょう。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 |
require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = Range.new(1, 5) range2 = Range.new('a', 'e') range3 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05")) puts range1.include? 3 puts range1.include? 6 puts range2.include? 'b' puts range2.include? 'g' puts range3.include? Date.parse("2020-06-01") puts range3.include? Date.parse("2020-06-06") |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 |
true false true false true false |
このように、範囲オブジェクトに要素が含まれているか否か、include?で比較できます。
数値・文字・日付のどれにでも適用可能
Rubyのinclude?メソッドは数値、文字、日付のどのRangeオブジェクトでも適用可能です。
例えば、数値のRangeオブジェクトにinclude?メソッドを利用した場合、
1 2 3 |
range = 10..50 p range.include? 30 p range.include? 80 |
こちらの実行結果は
1 2 |
true false |
となります。また、日付のRangeオブジェクトにinclude?メソッドを利用した場合のコード例は、
1 2 3 4 |
require 'date' p (Date.parse("2021-04-01")..Date.parse("2021-06-01")).include? Date.parse("2021-05-01") p (Date.parse("2021-04-01")..Date.parse("2021-06-01")).include? Date.parse("2020-05-01") |
で、実行すると
1 2 |
true false |
という結果で出力されます。
範囲オブジェクトの比較(===)
範囲オブジェクトに要素が含まれているか否か、「===」でも比較できます。
実際のソースコードを見てみましょう。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 |
require 'date' # 日付を扱うために必要 range1 = Range.new(1, 5) range2 = Range.new('a', 'e') range3 = Range.new(Date.parse("2020-06-01"), Date.parse("2020-06-05")) puts range1 === 3 puts range1 === 6 puts range2 === 'b' puts range2 === 'g' puts range3 === Date.parse("2020-06-01") puts range3 === Date.parse("2020-06-06") |
実行結果は以下のようになります。
1 2 3 4 5 6 |
true false true false true false |
このように、範囲オブジェクトに要素が含まれているか否か、「===」でも比較できます。
Rubyの範囲オブジェクトで覚えておくと便利なもの2選
Rubyの範囲オブジェクトで覚えておくと便利なものが2つあります。日付の作成方法とsuccメソッドについて紹介します。
具体的なコードも紹介しているので、ぜひ自分で書いて学んでみてください。
1:日付の作成方法
Rubyの範囲オブジェクトを扱うことで、連番の日付が生成できます。
例えば2021-06-01から2021-06-10まで生成したい場合、
1 2 3 4 |
require 'date' (Date.parse("2021-06-01")..Date.parse("2021-06-10")).each do |date| p date end |
で実行結果が
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 |
<Date: 2021-06-01 ((2457814j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-02 ((2457815j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-03 ((2457816j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-04 ((2457817j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-05 ((2457818j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-06 ((2457814j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-07 ((2457815j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-08 ((2457816j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-09 ((2457817j,0s,0n),+0s,2299161j)> <Date: 2021-06-10 ((2457818j,0s,0n),+0s,2299161j)> |
となります。
2:succメソッド
Rubyで使用できるsuccメソッドは、指定した整数や文字列の次に当たる整数や文字列を返すメソッドです。
例えば、”a”..”g”というRubyの範囲オブジェクトを作成している状態で
1 |
"e".succ |
を実行すると
1 |
"f" |
という出力結果が得られます。
エンジニア
マネージャー
Rubyの範囲オブジェクトを理解しよう
Rubyの範囲オブジェクト(Rangeオブジェクト)は、範囲を表すためのオブジェクトで、その作成方法や扱い方について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
作成した範囲オブジェクトに対して、繰り返し処理や検索処理ができます。ぜひご自身でソースコードを書いて、Rubyについて理解を深めてください。
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