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WPFで使えるMVVMフレームワーク「Prism」とは
2020年03月23日
WPF、UWPアプリなどのXAMLアプリケーションで、MVVMパターン開発を支援する「Prism」は、 WPF、UWPアプリ開発を効率的にします。「Prism」を使って簡単なアプリケーションを作成してみましょう。
- SE
- MVVMパターンとは何ですか?
- PM
- プログラムの要素をModel、View、ViewModelの3つに分割したWPF、 Silverlight向けに考案された開発手法です。
目次
Prismを使ってできること
Prismが提供する主な機能は以下のとおりです。
機能 | 説明 |
---|---|
ViewModel実装の補佐 | ViewとViewModelの紐付け自動化や、ViewModelの実装に欠かせない、INotifyPropertyChangedなどのインターフェイスを実装するクラス群の提供 |
DI コンテナ(依存性の注入) | アプリ全体で使用できるDIコンテナ。複数のDIコンテナから任意のものを選択できる |
InteractionRequest | ViewModelとViewの間で通信をする |
EventAggregator | ViewModel 間の通信をサポートする機能。送信側の ViewModel から、複数の ViewModel にメッセージが送信可能 |
Prismは疎結合で保守性が高いWPFやUWPアプリ開発を補助するフレームワークです。UIとビジネスロジックが分離されたアプリは、MSTestなどのツールによるテスト自動化も行えます。
公式HP:https://github.com/PrismLibrary/Prism
Nuget:https://www.nuget.org/packages/Prism.Wpf/
Prismのインストールとサンプルの作成方法
では、実際にPrismをインストールしてアプリを作っていきましょう。今回は、ボタンを押すとカウンタが1ずつ増えていく、下のイメージのような簡単なアプリをPrismで作ります。
【サンプルアプリの完成イメージ】
Prismのインストール
まずは、Visual StudioにPrismをインストールしましょう。今回はVisual Studio 2019を使った例で解説します。
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- Visual Studioのメニューより、[拡張機能]>[拡張機能の管理]を選択します。
- 画面右上の検索ボックスに「Prism Template Pack」と入力し検索し、検索結果の一覧にある[ダウンロード]をクリックします。
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- 画面の指示に従い Visual Studioを閉じると、次のようなインストーラが立ち上がるため、[Modify]ボタンをクリックし、インストールを開始します。
PrismでWPFアプリの作成
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- Visual Studioの「新しいプロジェクトの作成」で、検索ボックスに「Prism」と入力し、検索結果から「Prism Blank App(WPF)」を選択します。
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- プロジェクト名や保存場所を入力します。
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- 次に[PRISM PROJECT WIZARD]の画面が表示され、どのDIコンテナを使用するかを選択します。ここでは「Unity」を選択します。
- 画面(MainWindow.xaml)とビューモデル(MainWindowViewModel.cs)があらかじめ追加されたプロジェクトが作成されます。ファイルを編集して、サンプルアプリを完成させましょう。
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<Window x:Class="BlankApp1.Views.MainWindow"
xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
xmlns:prism="http://prismlibrary.com/"
prism:ViewModelLocator.AutoWireViewModel="True"
Title="{Binding Title}" Height="150" Width="225">
<Grid>
<StackPanel VerticalAlignment="Center" HorizontalAlignment="Center" Orientation="Horizontal">
<Border Width="40" BorderBrush="Black" BorderThickness="1">
<Label Content="{Binding Cnt}" />
</Border>
<Button Command="{Binding CountUp}" Content="Click hire" />
</StackPanel>
</Grid>
</Window>
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using Prism.Commands;
using Prism.Mvvm;
using Prism.Navigation;
using System;
namespace BlankApp1.ViewModels
{
public class MainWindowViewModel : BindableBase
{
private int _cnt;
public int Cnt {
get { return _cnt; }
set { SetProperty(ref _cnt, value); }
}
public DelegateCommand CountUp { get; private set; }
public MainWindowViewModel()
{
CountUp = new DelegateCommand(
() => { Cnt++; }, // Click hireが押された時
() => true); // コマンドの実行可否(trueで実行可)
}
}
}
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- SE
- Prismを使用すると、MVVMパターンのアプリが簡単に作れますね。
- PM
- Prismで作ったアプリは、ViewやViewModelなどの層が疎結合になっていて、メンテナンス性も良くなります。
Prismを使って開発効率をアップ
一般的にMVVMパターンのアプリは、メンテナンス性が高い代わりに、最初の開発に時間がかかるといわれています。 Prismなどのフレームワークを使用して、効率的にMVVMパターンのアプリを開発しましょう。