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Kubernetes入門
この記事ではコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesについて取り上げます。(Kubernetesはクーバネーティスと読み、K8sと表記されることもあります。)
入門用の記事ということで、これからKubernetesを入門したいという方向けに、基本的な概念の説明をした上で、簡単なハンズオンを実施します。
Kubernetesとは?
KubernetesとはGoogleによって開発された、オープンソースのコンテナオーケストレーションツールです。Googleがコンテナ運用によって得られた知見を元に開発したツールです。
コンテナと言えばDockerを想起する人も多いでしょう。KubernetesはDockerとセットで解説されることが多いです。Docker専門というわけではないのですが、コンテナエンジンのデファクトスタンダードはDocker Engineですので、Dockerとの関連が非常に高いです。
Kubernetesとは「Docker(などのコンテナエンジン)を上手にコントロールすることができるツール」と考えてもらえると理解しやすいかと思います。
まずは、Dockerとコンテナオーケストレーションについて理解しましょう。
Dockerとは?
コンテナ入門者向けのセクションです。「Dockerに関しては入門者じゃない」という方は読み飛ばしてください。
Dockerとはコンテナ型の仮想環境を提供するためのプラットフォームです。
コンテナとはアプリケーションを小部屋化できる仕組みであり、Dockerを導入している様々な環境でアプリケーションを同じように動かすことができる仕組みです。
これは何が便利かと言いますと、「環境の差異を気にすることなくアプリケーションの開発ができる」という点です。
Linuxでは動いたけど、Windowsでは動かない。開発環境では動いたけど、本番環境では動かない。こういった環境の差異による問題を経験した方は多いと思います。しかし、Dockerは、環境の差異を気にすることなく開発・運用ができるのです。
コンテナオーケストレーションツールとは?
最初のセクションでも説明した通り、Kubernetesはコンテナオーケストレーションツールであり、コンテナオーケストレーションとは「コンテナを上手にコントロールしてくれる存在」です。
Webサービスは複数のサーバー(コンテナ)で構成されることが多いかと思います。Webサーバー・アプリケーションサーバー・DBサーバー・バッチサーバー等々複数のサーバーで構成されるのが一般的です。
最近では、マイクロサービスアーキテクチャが流行しているため、アプリケーションサーバーを疎結合にして複数サーバーで構成するケースも増えています。
また、大規模サービスなどでは、スケールアウトにより同一サービスが複数台同時に稼働しているという状況もよく見られるでしょう。
コンテナを使ってこのようなWebサービスを構成する際に非常に便利なのが、Kubernetesといったコンテナオーケストレーションツールなのです。
Kubernetesは「マニフェストファイル」と呼ばれる定義ファイルに従って、複数のコンテナを管理し、コンテナの死活監視や、ロードバランシングといった役割を果たすのです。
Kubernetesの重要用語
ここではまずKubernetesにおける重要な用語を解説します。Kubernetesは様々な概念によって構成されていますが、最低限度知っておいた方が良いという用語に絞って解説します。
用語 | 説明 |
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クラスタ | クラスタとはKubernetes全体のリソースを統括する単位です。これが一番大きな単位です。クラスタは複数のノード(マスターノード・ワーカーノード)から構成されます。 |
マスターノード | マスターノードとはクラスタに必ず1つ存在します。ワーカーノードを管理する役割を果たします。 |
ワーカーノード | ワーカーノードは複数のポッドによって構成されます。 |
ポッド | ポッドは複数のコンテナによって構成されます。基本的なデプロイの単位がポッドです。 |
実際にKubernetesを動かしてみよう!
このセクションでは実際にKubernetesをローカルで動かしてみます。入門者でもわかりやすいように1から説明していますので、記事の通りに実行してみてください。
注:Macのみの解説になります。
kubectlをインストールしよう
Kubernetesをコマンド操作するためのツールであるkubectlをインストールします。Macのターミナルを開いて以下のコマンドを実行してください。
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brew install kubectl
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次に以下のコマンドでインストールされているかを確認します。
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kubectl version --client
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kubectlのバージョン情報が表示されていればインストールは完了です。
Minikubeをインストールしよう
今回はローカルでKubernetesを動作させるため簡易なツールであるMinikubeというツールを使用します。Minikubeをインストールしていきましょう。Macのターミナルを開いて以下のコマンドを実行してください。
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brew install minikube
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次に以下のコマンドでインストールされているかを確認します。
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minikube version
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minikubeのバージョン情報が表示されていればインストールは完了です。
クラスタの作成
ではいよいよクラスタの作成を行っていきます。Macのターミナルを開いて以下のコマンドを実行してください。
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minikube start --driver=virtualbox
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最初の実行であれば、かなりの時間を要しますので注意してください。ターミナルが操作可能になったら、以下のコマンドでクラスタのステータスを確認します。
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minikube status
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host: Running などと表示されていれば、問題なくクラスタが作成されています。
ポッドの起動
sample-serviceというポッドを作成して、起動・公開します。Macのターミナルを開いて以下のコマンドを実行してください。
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kubectl create deployment sample-service --image=k8s.gcr.io/echoserver:1.10
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deployment.apps/sample-service created と表示されれば、正しく実行できた証拠です。
続いて以下のコマンドを実行しましょう。
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kubectl expose deployment sample-service --type=NodePort --port=8080
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service/sample-service exposedと表示されれば、正しく実行できた証拠です。
ポッドの起動確認
すでにポッドが作成されました。起動には時間がかかるので、しばらくしてから以下のコマンドを実行してください。
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kubectl get pod
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STATUSがRunningであれば正しく起動できています。
次に作成されたポッドのサービスにアクセスしてみます。
まず
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minikube service sugar-deployment --url
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を実行してポッドのURLを取得してください。
その後、任意のWebブラウザで取得したURLを開きます。
ポッド(サービス)の情報が表示されれば、正しく起動している証拠です。
コンテナ時代の必須技術Kubernetesを活用しよう!
今後ますますコンテナ・マイクロサービスのニーズは高まっています。そのような状況下では、たとえアプリケーションエンジニアであってもdocker/Kubernetesの知識が求められます。
この記事をきっかけにコンテナの入門者を脱して、コンテナ時代のエンジニアとして市場価値を高めていきましょう。
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